みなさんは「段取り八分仕事二分」という言葉をご存じだろうか。事前にきちんと段取りさえすれば仕事の八割がたは完了したという意味である。これは僕の好きな言葉であるとともに敗戦のたびに戒めとなる言葉でもある。
今回この「段取り」と「仕事」について「準備」という観点から考えたい。
試合の結果はおおかた「準備」で決まると私は常々思っている。まず対戦が決まれば相手が決定する。相手が分かればそのストロングポイントをいかに殺し,ウィークポイントをどう突いて攻めるかを分析できる。するとそれを想定した練習メニューを組み立てられるのだ。トーナメントともなれば,延長戦やPKにもつれ込むことすら念頭に置かねばならない。あらゆる可能性をチーム全体,そしてメンバー1人1人が意識して備えたときにはじめて勝利を収めることができるのだろうと思う。
その明暗が分かれたのが新人戦福岡県大会とその後の九州大会ではないか。
県大会ではチームのモチベーションも高く準備に余念がなかった。それに対し九州大会では直前に定期考査があって準備にすべての時間や労力を捧げられなかった。結果は不甲斐ないものとなったのは記憶に新しい。
では我々はいわゆる「常勝軍団」や「強豪校」にはなれないのか。また試合を理由に学業を疎かにしてもいいのか。私はそうは思わない。試合までの入念な準備はいわずもがなだが,試験対策においては本来,テストなどまでの残日数を考慮して総勉強量を各日に割り振りそれに基づいて日々勉強するのが「準備」であり,テストで結果を出すのが「実行」である。しかし準備段階でも「実行」力が試される。計画をしてもそれを「やるか」「やらないか」には精神力が大きくかかわる。たしかに得点できると分かっていても単純作業や反復練習は地味で辛い。しかし,勉学で行う反復練習を克服できないで,もっと過酷なサッカーの反復練習に耐えられるわけがない。どちらの練習もやりきる実行力を身につけて両立してこそ真の強豪校となれるのだと思う。
私たち3年生は人生の岐路に立っている。これから選ぶすべての行為が進路に直結する時期にさしかかった。私は今後のインターハイも目の前に迫っている進路選択にも「段取り八分仕事二分」の精神で真摯に向き合っていく。
野上大翔(のがみ やまと)
U12所属:サガン鳥栖U12
U15所属:サガン鳥栖U15